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労働条件の不利益変更の条件とは

会社は時に、経営上の必要性から、給与カットや諸手当等の引き下げ・廃止、同一賃金での労働時間延長・指定休日の削減、定期昇給の停止など、労働条件を変更し、人件費の削減を迫られることがあります。しかし、このような労働者にとって不利益となる労働条件の変更は、会社側が恣意的にできるものではなく、労働関係法令等に従って行う必要があります。そして、会社が必要な手順を踏まず、不当に、恣意的に労働条件を変更するときは、労働者側は直接の交渉やあっせん、訴訟などを通じて、変更措置の無効を主張することになります。

 

労契法8条は、「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。」としており、また、同法9条本文は、「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。」と定めています。労働条件を労働者にとって不利益に変更する場合は、原則として労使間の合意が必要ということになります。

 

しかし、この基本原則には例外があります。就業規則を用いて労働条件を変更する場合は、以下の2つの条件を両方満たす場合、例外的に従業員の同意なく会社が一方的に変更することができます(労契法10条)。


(1)変更後の就業規則を従業員に周知させること
(2)就業規則の変更が合理的であること

 

そして、上記(2)の合理性の判断においては次の5つの要素を考慮します。
①労働者の受ける不利益の程度
②労働条件の変更の必要性
③変更後の就業規則の内容の相当性
④労働組合等との交渉の状況
⑤その他の就業規則の変更に係る事情

 

これまでの裁判例を前提にすると、①労働者の受ける不利益の程度と、②労働条件の変更の必要性を比較して検討することが最も重要とされます。そのうえで、③変更後の就業規則の内容について、相当と認められるものであれば、変更後の就業規則が合理的であると判断されやすくなります。事例によっては④労働組合等との交渉の状況や、⑤その他の就業規則の変更に係る事情を考慮して、合理性の有無の判断を補強していきます。①~⑤だけでなく、事案の内容次第で他のさまざまな要素も考慮対象にし、過去の裁判例では、


・代替措置その他関連する他の労働条件の改善状況
・他の労働組合またはほかの従業員の対応
・同種事項に関する我が国社会における一般的状況

 

などの要素も合理性の有無の判断で検討されました(タケダシステム事件・最判昭和58年11月25日労判418号21頁参照)。

訴訟においても難しい争点となるため、お悩みの際は、弁護士に相談することをおすすめします。

 

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弁護士大塚晋平

弁護士(静岡県弁護士会所属)

大塚 晋平(おおつか しんぺい)

  • 経歴
    • 昭和61年7月19日生
    • 静岡県立清水南高校卒業
    • 九州大学法学部卒業
    • 静岡大学法科大学院修了
  • 所属

    静岡県弁護士会所属

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