会社に労働組合がある場合

労働条件の変更を行うには、いくつか方法がありますが(労働契約法8条~10条参照)、労働協約の改定を通じた方法もあります。

労働協約とは、会社と労働組合が結ぶ契約で、労働時間や休日などの労働条件に関する事項や人事の取り扱いに関する事項、及び労使交渉に関する事項などを内容とするものです。労働協約は会社と労働組合との決め事であるため、適用対象は原則として組合員に限定されます。

非組合員にも適用される「労使協定」(使用者と労働組合または従業員の代表者とが、労働基準法に定められた事項に関して締結を義務付けられた契約)とはこの点で異なります。

 

労働協約の定める労働条件は、労働基準法などの労働関係法規に反しない限り、労働契約や就業規則に優先して適用されます(労働組合法16条参照)。すなわち、規定の優先順位は、「法令などの強行法規>労働協約>就業規則>労働契約」という順になります。労働協約中にある「労働条件その他の労働者の待遇に関する基準」に掲げられている内容は、実務上、個別に締結されている労働契約よりも、有利か不利かを問わず、優先されます。このため、労働協約によって、労働条件を(労働者にとって)不利益な内容に変更することができます(朝日火災海上保険(石堂・本訴)事件・最判平成9年3月27日労判713号27頁参照)。

 

もっとも、裁判例では、労働協約が特定または一部の組合員を、ことさら不利益に取り扱うことを目的として締結されたものであるなど、労働組合の目的を逸脱して締結された場合には、例外的に労働協約の効力が及ばないとしています。具体的には、労働協約の締結の経緯、会社の経営状態、協約の基準の全体としての合理性などを検討して、労働組合の目的の逸脱があるかどうかを判断しています(前掲朝日火災海上保険(石堂・本訴)事件)。

 

また裁判例では、労働協約の一般的拘束力(労働組合法17条)を利用した労働条件の不利益変更の問題(未組織労働者(どの組合にも加入していない労働者)への拡張適用の問題)には慎重な態度をとっています(朝日火災海上保険(高田)事件・最判平成8年3月26日民集50巻4号1008頁・労判691号16頁参照)。

 

労働条件の不利益変更でお悩みの際は、弁護士に相談することをおすすめします。

 

弁護士 大塚 晋平(小林法律事務所)は、富士市、富士宮市、沼津市を中心に、静岡県内における不当な労働条件の変更に関するご相談を承ります。
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弁護士大塚晋平

弁護士(静岡県弁護士会所属)

大塚 晋平(おおつか しんぺい)

  • 経歴
    • 昭和61年7月19日生
    • 静岡県立清水南高校卒業
    • 九州大学法学部卒業
    • 静岡大学法科大学院修了
  • 所属

    静岡県弁護士会所属

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