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雇用契約書に残業代の記載がなくても請求できる?

雇用契約書に残業代についての記載がない場合であっても、残業代を請求することができるかといったご相談を多くいただきます。

雇用契約書に記載がされていないため、請求するための根拠に乏しく心配になられる方が大多数でしょう。

ここでは、雇用契約書に残業代の記載がない場合でも、残業代を請求することができるかについて解説をしていきます。

 

◆残業代の請求をすることができるか
雇用契約書に記載されている残業代についてのルールは、非常に重要なものとなっています。
法律に違反しない内容であれば、会社の決めたルールに従って残業代を計算することになっているからです。
残業代を請求する上では、雇用契約書が請求の証拠の中でも、重要な証拠といえるでしょう。

雇用契約を締結する際に、残業代の記載についての確認を怠ってしまったため、就労開始後や実際に残業代を請求することになった際に、初めて不利な契約であったことに気がつくといった方は少なくありません。

法律に違反しない内容であればと上述しましたが、具体的には以下のような内容の記載があった場合には、労働者にとって不利に働いてしまいます。


・始業・終業・休憩についての記載が実態と異なる
・管理監督者であり残業代なしとされていた
・固定残業代の記載
・事業場外労働みなし労働時間制の記載
・裁量労働制の記載
・残業禁止で、残業代が支払われないとの記載

 

上記の記載がある場合には、残業代が発生しないことがありますが、会社が明らかに違反するような運用をしている可能性もあります。

法律とは労働基準法によって判断することとなります。
労働基準法に違反する契約をしても、無効化することができるため、残業代請求を諦める必要はありません。

 

◆残業代についての明確な記載がないから支払わないというのは違法
労働基準法15条では、労働条件について書面で明示することを会社に義務付けています。

その中には、時間外労働の有無と賃金計算の方法が含まれています。
そのため、残業代について雇用契約書に記載がないといった場合には、労働基準法15条に違反しており、会社は30万円以下の罰金刑を受ける可能性があります。

また、労働基準法37条には、時間外労働についての支払い義務を定めていることから、雇用契約書の残業代規定の無記載を理由に支払いを拒むことはできません。

その根拠としては労働基準法13条において、労働基準法の定める基準に達しない労働条件を定めた労働契約は、無効とする旨が規定されています。

 

◆実際に残業代を請求する方法


・労働基準監督署に相談・申告をする
上記で示したように、労働基準法に違反して、残業代が支払われないような場合には、労基署の指導や是正勧告の対象となります。

そのため、労働基準監督署に申告をすることで、調査、指導を求めることができます。

申告をする際には、調査を全て労基署に任せるのではなく、しっかりと自身で証拠を提示しなければなりません。

証拠がなければ労基署としても、対応すべきかどうかの判断が難しくなるからです。

残業代請求に有効な証拠としては、以下のものが挙げられます。


・労働契約書・雇用契約書
・就業規則
・タイムカード、勤怠記録、日報
・業務用メールの送受信記録履歴
・帰宅時のタクシー使用履歴(領収書)
・日記等の備忘録
・残業指示書や残業承諾書
・残業の指示を受けたメール
・指示を受けた時のメモ
・残業承認の旨の書面
・残業時間中の業務内容がわかる書面

 

・弁護士に相談をする
弁護士に上記で示した証拠を持参し、相談をすることで、残業代請求について一任をすることができます。
労基署への申告と違って、訴訟などの法的な手段についてのアドバイスを受けることも可能です。

もちろん弁護士に依頼をしなくても残業代を請求することができますが、会社側が誠実な対応をしてくれないということもあるため、あまりおすすめできる方法ではありません。

 

弁護士 大塚 晋平(小林法律事務所)は、静岡県富士市を中心に静岡県の法務を取り扱っております。

特に不当解雇や残業代請求などの労働関係についての法務を中心に取り扱っております。お困りの方は一度ご相談にお越しください。

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弁護士大塚晋平

弁護士(静岡県弁護士会所属)

大塚 晋平(おおつか しんぺい)

  • 経歴
    • 昭和61年7月19日生
    • 静岡県立清水南高校卒業
    • 九州大学法学部卒業
    • 静岡大学法科大学院修了
  • 所属

    静岡県弁護士会所属

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