退職後でも未払い残業代の請求はできる?
労働契約において、使用者は労働者に対して労働の対価として賃金を支払う必要があります。
そして、かかる賃金は労働契約によって発生するものであるところ、本来的には1分単位で発生するもので、残業に対しても当然に発生します。
加えて、労働契約は、労働者の保護を念頭に置いているため、残業に対しては割増して賃金を支払う必要があります。
ここでいう割増賃金の支払いが求められる残業とは、法定時間外労働をいいます。
時間外労働には、所定時間外の労働と法定時間外の労働があります。
所定時間外労働とは、就業規則などの当事者間の労働契約の内容となっていた労働時間(所定労働時間)を超える労働時間をいい、法定時間外とは、1日8時間、1週間当たり40時間という法定された上限の労働時間(法定労働時間)を超える労働時間をいいます。
もっとも、残業代に関しては、これに関する法の建前を知らず、退職してから存在に気が付く場合も少なくありません。
そこで、退職後に残業代の支払いを求めることもあるでしょう。
では、未払いの残業代は退職後に求めることができるのでしょうか。
このページでは、未払いの残業代を退職後に求めることができるのかどうかご紹介します。
退職後でも未払い残業代の請求はできるか
結論からいうと、一定の期間内であれば請求することが可能です。
未払いの残業代の支払い請求権は、就労中に権利として発生したものであって、権利はこれを失うまでいつでも行使することができるのが原則です。
そのため、未払いの残業代を退職後に、その遅延損害金と併せて請求できます。
もっとも、上述の通り、「一定の期間内」に限られます。
権利には消滅時効期間というものがあり、消滅時効が完成すると、権利を行使することができなくなります。
では、時効期間は何年なのでしょう。
この点について、2020年4月の民法改正に伴って変わっているため、同時点以前の請求権か、それ以降の請求権かによって時効にかかる期間が異なります。
2020年4月以前の賃金支払い請求権は権利の発生から2年で時効消滅するとされています。
一方、2020年4月以降の賃金支払い請求権の時効期間は3年とされており、労働者の保護という色が濃くなりました。
なお、現在は3年とされていますが、これは5年間にするべきという声と、企業の負担からして長すぎるとの声との折衷的な期間となっています。
そのため、今後5年間に延長される可能性が十分にあります。
未払いの残業代の請求権は、賃金支払い請求権の一種であるため、上記時効期間と対応することになります。
時効期間は刻一刻と進行しますが、同権利を行使するなど(催告)すれば時効期間の完成を妨げることができます。
かかる請求は書面で行い証拠として残すことが重要といえます。
未払い残業代の請求については小林法律事務所までご相談下さい
未払いの残業代の支払いを求めることができる一方で、これを放置すると時効が完成して、請求することができなくなってしまいます。
また、残業代を請求することができるのかどうかの判断が難しい場合もあります。
例えば、月の給料に残業代が含まれているパターンで、一定の要件(区別可能であり、法定の割増率より高額であること)の下、これも認められています。
そこで、残業代の支払いの可否・時効完成の有無・時効の完成を止めることの可否等を含めて弁護士の相談することが有効といえます。
弁護士 大塚晋平(小林法律事務所)は、労働、不当解雇、残業代請求、セクハラ、パワハラ、リストラなど、労働問題のご相談を承っています。
お問い合わせに関しては初回相談無料、事前予約で休日・時間外も対応しています。
労働問題でお困りの方は、当事務所までお気軽にご相談ください。
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資格者紹介
弁護士(静岡県弁護士会所属)
大塚 晋平(おおつか しんぺい)
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- 経歴
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- 昭和61年7月19日生
- 静岡県立清水南高校卒業
- 九州大学法学部卒業
- 静岡大学法科大学院修了
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- 所属
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静岡県弁護士会所属
事務所概要
事務所名 | 小林法律事務所 |
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所在地 | 〒417-0073 静岡県富士市浅間本町2-38-21 |
TEL/FAX | TEL:050-5526-0206 / FAX:054-538-9087 |
営業時間 | 平日 9:00~17:00 (事前予約で時間外対応可能です) |
定休日 | 土・日・祝日 (事前予約で休日も対応可能です) |