弁護士 大塚 晋平(小林法律事務所) > 不当解雇 > 不当解雇による慰謝料請求|相場や必要となる証拠など

不当解雇による慰謝料請求|相場や必要となる証拠など

不当な理由により解雇をされたため、解雇を撤回してもらいたい、金銭を請求したいというご相談をよくいただきます。

解雇が不当なものである場合には、撤回や未払い賃金の支払いなどを請求することができます。

ここでは、不当解雇による慰謝料の相場や必要となる証拠などについて詳しく解説をしていきます。

 

◆不当解雇による慰謝料請求
実は、不当解雇を理由に慰謝料が認められるケースは多くありません。
過去には、長期間のハラスメントや明らかに不当な理由での解雇、解雇により精神疾患が生じたような、非常に悪質なケースでは慰謝料が認められたことがあります。

その中でも代表的な判例をご紹介いたします。

平成23年11月25日東京地裁の判決によると、不当解雇による損害賠償、解雇予告手当、未払い賃金の請求が認められました。

この判例では、不当解雇によって生活上著しい不利益を被ったとして、不法行為に基づく損害賠償請求が行われました。

また、解雇予告手当と未払い賃金に対する請求も行われました。

損害賠償が認められた理由としては、会社側が解雇を回避する手段を全く検討していなかったことや、解雇自体が突然行われたことがあげられます。

また、平成9年2月28日東京地裁の判決では、不当解雇とセクハラによる慰謝料請求が認められました。

この判例では、不当解雇とセクハラに対して、不法行為に基づく損害賠償請求をした事例となっています。

今回の事例では、原告が日常的にセクハラの被害を被っており、セクハラに対して抗ったところ、解雇する旨を通知されていました。
セクハラ行為そのものに対してだけではなく、それを拒否したことを理由に解雇することは、不法行為に該当します。

これらの判例を見て分かる通り、基本的には解雇そのものに対する慰謝料の請求が認められているというわけではなく、解雇に付随して悪質な行為があった場合に、慰謝料が認められることがある、という認識をしておいたほうが良いといえます。

 

◆慰謝料の相場
不当解雇の相場は20万円から50万円前後に収まる事例が多くなっています。

もっともこの金額は目安であり、会社側の悪質性や労働者の被った不利益の程度によって金額が変動します。
実際に上記で紹介した判例では、この相場を大幅に上回る慰謝料が認められていました。

また、基本的に不当解雇の事案で請求することができるのは、解雇によって就労できなかった期間の賃金となっています。
上記の未払い賃金の支払いにより、労働者の被った精神的苦痛が解消されると判断されているため、慰謝料請求が認められることが少ない理由となっています。

 

◆慰謝料請求に必要となる証拠
慰謝料を請求する場合には、訴えを提起した原告、すなわち労働者の側から不当な解雇があったことと不法行為があったことの主張立証をしなければなりません。

まずは前提として不当解雇であったことを証明することができる証拠についていくつか列挙させていただきます。

 

・雇用契約書・就業規則・賃金規程
・解雇通知書
・解雇理由証明書
・人事評価書
・業務上やり取りしたメール
・解雇に関して会社側とのやり取りが記載された書面

 

上記の他にもケースバイケースで証拠となりうるものがありますが、代表的なものとしては、上記のいずれかがあれば十分でしょう。
これらの証拠を元に不当な解雇であると判断された場合には、未払い賃金等の補償を受けることができます。

もっとも慰謝料を請求する場合には、上記の証拠に加えて解雇に関連して行われた悪質な行為に関する証拠を収集する必要があります。

セクハラやパワハラなどのハラスメント行為、名誉毀損や侮辱にあたる行為、暴力やいじめなどを立証できる証拠を集めておく必要があります。

不当解雇の場合には、会社側が解雇の正当性を主張立証する必要がありましたが、会社による不法行為があったことの立証責任は労働者側にあります。

そのため、不当解雇の証拠以上に労働者側の証拠収集が重要となることに注意が必要となります。

 

弁護士 大塚 晋平(小林法律事務所)は、静岡県富士市を中心に静岡県の法務を取り扱っております。

特に不当解雇や残業代請求などの労働関係についての法務を中心に取り扱っております。お困りの方は一度ご相談にお越しください。

当事務所が提供する基礎知識

Basic Knowledge

よく検索されるキーワード

Search Keyword

資格者紹介

Staff

弁護士大塚晋平

弁護士(静岡県弁護士会所属)

大塚 晋平(おおつか しんぺい)

  • 経歴
    • 昭和61年7月19日生
    • 静岡県立清水南高校卒業
    • 九州大学法学部卒業
    • 静岡大学法科大学院修了
  • 所属

    静岡県弁護士会所属

事務所概要

Office Overview

事務所名 小林法律事務所
所在地 〒417-0073 静岡県富士市浅間本町2-38-21
TEL/FAX TEL:050-5526-0206 / FAX:054-538-9087
営業時間 平日 9:00~17:00 (事前予約で時間外対応可能です)
定休日 土・日・祝日 (事前予約で休日も対応可能です)